恋愛論
 





席に戻ろうとすると、今度は良平さんが手招きした。

頭にハテナを浮かべながら隣に腰を下ろすと、小さな声で耳打ちをしてきた。




「宗佐さん狙ってんの?」

「はい」




容易い質問に即答で答える。




「アイツはやめた方がええよ」

「?」

「まだナオちゃん若いし、男は腐るほど居んねんから」

「嫌です。私、あの人がいい」

「だってアイツは…」




良平さんが言いかけたとき、私は慌てて席を立ち部屋をでた。

悪い噂なんか聞いて、この強い気持ちを失いたくないから。

気持ちは強ければ強いほどいい。

ソレが弱ければ迷ってしまう。

安定した将来を欲するなら、悪い噂は真実でも無視すること。




 
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