恋愛論
 




「か、顔色悪いけど…」




腰を下ろし床に膝をついた。

彼はジッと私の顔を覗き込む。




「ちょっと疲れただけ」

「…でも…」

「…大丈夫だって」




蚊を追い払うように、彼の顔の前で手を降る。




「…帰った方が…」

「帰りたくない」

「…熱あるんじゃ…」

「ほっといて」



今の私には一言喋るのも辛くて、たまらず壁にもたれる。

聡さんは渋ったような顔をした。




「ちょっと待ってて」




何を思ったのか、そう言って立ち上がり部屋に戻っていく。

待ってろだ?

あんたに言われる筋合いなんかないよ。







熱い、辛い。

息が上がっていく。



最悪だ。

やっと巡り会えたこんなチャンスに。

自分が嫌になる。



宗佐さん――



 
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