仮面の君

「どんどん煩い。隣の部屋まで聞こえてくるんだよね。怪獣か、お前は」

「……なっ!煩くないしっ。怪獣じゃないし、乙女だし」


そう、コイツ。

この口の悪い人はあたしの兄だったりする。

悔しいことに頭は勝てる自信はない。


「は。お前正気?頭大丈夫かよ、ご飯出来たらしいからなー」


それから階段を降りる音がした。


「は。お前正気?頭大丈夫かよ」

「……むな」


兄に言われた言葉を言ってみたけれど、なんか迫力がなかった。

なんて憎たらしいんだ!

よく〝お兄ちゃん〟と言えば妹思いで優しくて、困った時は相談にのってくれて。

なんて夢のような話がある。

こんな家庭あるのだろうか、と思う。

正に見てみたいものである。

もしかしたらあたしの家は仲が悪すぎるのかもしれないけど。


うんぬんと考えてたら何か重要なことを忘れてしまったような?


うーん。


「って!ご飯ーー」



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