私を愛して
俺だって本気を出せば、歴史上に残る曲を作れるさ。
もちろん、いつも本気。だけど、なんでか自分でも本気を出してないとしか思えない仕上がりになる。
それは、ただ俺が毎日の積み重ねが足りないからだろう…
それはわかっていた。
でも…
『シルト…』にかけていたが
やっぱり無理か
俺は目の前にあった
シルト…の楽譜をごみばこに投げ込んだ。
「パンプ!」
エバはガサガサと楽譜を拾い上げる。
いらないだろうよ
そんなの
どうせ歌集とかで
「売りあまるくらいあるんだからな!」
「この楽譜が?」
「もちろん」
「あら。これ、今じゃ大人気よ?歌集も売り切れ。すごいじゃない」
エバは自慢げに言うけど
「そんな、歌集なんかさ!きっと3ヶ月後なんかにはゴミとして戻ってくるさ!CDもね!」
そうさ。
俺は売れてるけど実際
“売れてない”んだよ
長く続かない。
たったひと時だけ。
一回聞いたらもいいいと思われる曲。
きっと、俺には才能がないからなんだろう。
俺の曲は、ただ意地張って曲作りに励む素人と同じさ。