桜の記憶
エピローグ
穏やかな春の日差しの中で、
私たちはのんびりと寝転ぶ。
空に思い描くのは、初恋の思い出。
それと共に、一緒に歩んでくれたあなたを想う。
そう、どんな思い出にも。
あなたが存在しない思い出にも。
あなたは必要な人なのだ。
私という人間を一緒に作ってくれた人なのだ。
「待ってておくれねぇ」
今だ元気な体に少し歯がゆくもなるけれど、
あなたと共につないだ命が隣にいる。
その人たちに必要とされているうちは、
元気で生きていたいと思う。
だから。
待ってて。
いつか辿りつきたいと思う場所は、
初恋の思い出ではない。
一緒に生きた、あなたの隣。
【END】