桜の記憶
「うるせぇのは"ばあ"も一緒だろ。
グラサンかけてるばばあなんて、気味ワリィよ。
ほら、いくぞ、こんな混んでるとこ、嫌なんだろ?
遊具のあるところを抜けりゃあ、もうちょっと静かになるよ」
「はいはい」
ひ孫は憎まれ口を叩きながらも、私の手を引っ張ってくれた。
今は小学5年生になったんだったか。
昔から私の事を、
「おおばあちゃん」とか、「ばあ」とか呼ぶ。
小さな子供だ子供だと思っていたけれど、
一丁前に手は大きくなったもんだ。
私の手を包むこの掌は、
まだ少し子供のものだけれど、
数年もすれば大人のものへと変わっていくのだろう。