FU-TSU-U
島根に着き、三人であづけられた。

今までの生活とは、かなり違うことに…すぐに気付く。

祖母は、父がいる間は…いつもの祖母だった。父がいなくなった途端に豹変した。

毎朝、5時に起こされた。すぐ下の弟とあたしだけ。起きてすぐに、弟は犬小屋の掃除。あたしは裏の溝掃除。冷たい井戸の水を食い上げバケツで運んで掃除する。

井戸なんて、見たことも触ったこともない…かなり都会っ子なあたしたち。…水を溢したと頭から…井戸の冷たい水を被せられた…その時、季節は冬…1月後半のことだ。

毎朝の日課は、これで終わらない。それが済むと、弟と犬を連れ犬の散歩に行く。散歩コースは、家から見渡せる道…歩くと家から怒鳴り声…。泣きながら走った。

散歩から帰ると、今度は家中の掃除…。田舎の家なのでかなり広い。障子全てにはたきをかけ、ほうきではく。その後、ダスキンのモップで仕上げをする。その工程が終わるのは、7時半ごろ。

朝ごはん…どんぶりにいっぱいのご飯。おかずはなかった…。お醤油を置かれ…それをかけた。一番下の弟だけは、玉子ご飯に魚粉をかけたもの。玉子が羨ましかった。
どんぶりいっぱいのご飯…食べきれない…。食べきれないと…ダスキンのモップの枝で背中を嫌と言うほど叩かれた。

それから、学校へ行く。田舎なので、バスで行く。学校だと叩かれないから、ホッとした。でも…学校は終わる。学校が終わると走ってバス停まで行き、帰った。祖母が帰るまでに、掃除をもう一度終わらせ、ご飯を炊いて、味噌汁を作っておかなくてはいけなかったから…。もし、祖母が帰るまでに終わっていなかったら…また、ダスキンの枝で叩かれ、裸にされ、裏に連れていかれ…井戸の水を頭から被らされ…祖母が気が済むまで外に立たされる。必死だった。何回殺されてしまうと思ったのか…わからない。

晩ご飯は…おかずがあった。何だか分からない煮物。味噌汁。どんぶりいっぱいのご飯…。今まで食べたことの無いようなものばかり。好き嫌いの多いあたしは毎回苦しんだ。
下の弟だけは、ハンバーグやミートボール、子供の喜びそうなものを食べていた。お菓子を与えられていたのも…下の弟だけだった。
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