アナタだけのお姫様
「ここでいいのかな?」
「うん、ここに来てって言われたよ。ひよは心配しなくていいからね」
――トントン
「失礼します……」
「しまーす」
ドアを開けると、中からは涼しい風があたしの肌をくすぐってくる。
セミの嫌な声も、廊下のジメジメした暑さも吹き飛ぶくらい気持ちがいい。
「はーい? お名前は?」
あたし達のところへ来たのは、綺麗なお姉さんだった。
ママの方が綺麗なんだけどさ……。