アナタだけのお姫様

 俯くあたしの頭を撫でながら、ひなは続ける。


「ひよを怒ったりして、ごめんね?」


「うん……」


 
 す、っと右手を差し出されたので、その手を握る。


 温かくて、ずっと包まれていたくなる。


「教室行こうね」


「うん」


 ――あたし達が手を繋いで教室へ入ると、皆が一斉にこっちを見る。



 まるで、転入初日の様に。



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