アナタだけのお姫様

 ――それからはよく知らない。



 ただ、男の子が運ばれた後の床に血溜まりが出来ていたから重症だったのかもしれない。


「ひよ……ごめんね? 怖かった?」


「ううん、平気だよ。それよりありがと……」


 うさぎのヘアゴムを探したけど、見つからないまま、あたし達は転校した。



 その男の子の体の具合とか、なんも知らない。



 ただ……ただ、その日からひなはあたしの事を‘日和’って呼ぶようになった。


「日和」


 理由を聞いたけど、‘ちゃんと守れるようになりたいから’としか答えてくれなかった。


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