アナタだけのお姫様

「あたし西塚ゆめです! よろしくねっ」


 ゆめ?


 少女マンガの主人公かよ。


「はい」



 そもそも、ひなって呼んでいいのはあたしと理沙だけなのに……


 どうしてひなは許してるの?


「ごめんね、日和は人見知りさんだからさ。俺も時間になったらちゃんと戻るね」


「あっ――ごめんお邪魔しちゃって! どうぞごゆっくり」


 ぺこりと頭を下げ、去っていくその姿を見つめていると、ひなが口を開いた。


「あんまり気にしないでね。ほら、冷めちゃうから焼きそば食べよう?」


< 203 / 525 >

この作品をシェア

pagetop