アナタだけのお姫様
再び手を繋いでお化け屋敷へ向かったものの……たしかにちっとも怖くなかった。
いや、少しは怖かったかもしれないけど、あたしの心はそれどころじゃないんだ。
ゆめって奴が気になっちゃって仕方なかった。
――どうか、何もありませんように……
って祈るだけで精一杯。
楽しかったのに楽しめなかった、そんな学園祭。
それに、打ち上げから帰ってきたひなは少しおかしかった。
いつもより濃いキスを求めてきたし、何より気になったのはとても悲しそうな顔をしていたんだ。