アナタだけのお姫様

 
「ぐぬぬぬぬ……!!」


 ホールのクソ重い扉を開けると、こないだの演奏会の時の飾りがウソのように綺麗さっぱり片付けられていた。



 椅子もテーブルも片付けてしまったらしい。


 広い中にピアノが一つ……その前にひなが座っていた。


「弾いてなかったの?」
 

 エコーがかかってるみたいにちょっとだけ響く。


「今さっき弾き終わったよ」


「ね、アレ弾いて」


 ひなの横に立つと、いつものいい匂いがしてくる。


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