霊務
【初仕事ー8】


普通心霊写真とは、
人間の後ろやガラスに
何気なく写ってたり、
後ろからわざとらしく
手を肩に置いたりする
程度のことである。






オッサンもそんな写真を予想していた。







だが、それは全く違っていた。







見ると、
なんと礼子は
カメラの真ん前で、
堂々とフレーム全体
ドアップで写っていた。







そこには
無機質な顔が、
何の感情もなく
写し出されている。









「…う

うわ----!!!!!」







一人が大声を上げるが
否や、
若者達はゴキブリのようにバラバラに散って
いった。







流石のオッサンも写真を
見てビックリしていた。







「キ、キミ!写りすぎ!!!!!

こんなドアップでなんて!!!!

霊なんだから端っこで
みみっち~~~~~~く
写らないと限度ってもんがあるでしょ
限度ってもんが!」






写真は
礼子のドアップなので、
後ろの若者達は
みんな透けて写っており、
それが
より一層恐怖を増幅させる。






しかも、礼子は髪が長いので、
ワザと前髪を垂らして
顔が見えないように写っていた。







「エヘヘ、やりすぎちゃった!♪」








テへっと礼子は
舌を出した。







「こんなの普通の人間
チビるよ!チビる!
トラウマになっちゃうでしょ!」







それはそうだ。

現にこの日を境に、あの
若者達は二度とここには来なかった
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