私と○○
なれたとは思うがどこか寂しい。
やはり私も人の子だ。
トントン。
ドアをノックする音からしばらく、母が顔を出した。



「若菜」
「何?」
「また、水が止まったから」
「え、また?」



こうやって話しているとすぐ分かる。
私たちは当たり前ながら親子だ。
表情もそっくり。
私もこんな表情して話しているんだな。



「ええ。ここのところ多いじゃない?まだやってるかもしれないわ」



手招きされたのでついて行くと母はすぐにリビングのテレビのスイッチを付けた。



「繰り返される断水。このままではこの地域一体に水不足が展開されてしまいますね」
「そうなりますね。その対策として政府は…」



テレビの中でニュースキャスターとコメンテイターが深刻そうに話している。
映し出される風景は私たちの住んでいる町だった。



「ついにニュースにまでなったんだ」
「まあ、そうでしょうね。今までならなかったのが嘘みたいだわ」



私たちの視線はテレビに奪われながらも会話は続いた。
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