私と○○
ニュースが終わり、母はため息をついた。



「仕方ないわね。最終手段よ」
「何?」
「お父さんの実家へいくわ」
「まあ、仕方ないでしょ」



私が即答すればまた母はため息をついた。
夜、父はなかなか帰ってこなかった。
母は車を出して水を買いにいってしまった。
だから一人、父の帰りを待つ。
ぼおっとすると何時も考える。
「大人はうそつきなんだ」と。
ニュースキャスターたちの話。
本人たちは本当に私たちのことを心配してくれているのか?
まさかそんなはずはない。
話の話題にすることはあるだろうが「心配で仕事が手につかない」ということはないだろう。
まあ、だから扱いやすいというのはあるが。
そしてさかのぼれば幼稚園の先生。
あの人もだ。
今の日本は侵されている。
そんな世の中で正体不明の嫁なんかになりたくない。
そして最後に父。
しかもこんな緊急事態にこんな馬鹿なことをするとは思わなかった。
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