師匠はコスプレ☆メイ探偵

安西邸に戻ると、門の前でうろうろしていた安西が車庫のシャッターを開けてくれた。

　待ちかねるように、駐車したニュービートルのガラスに、安西が張り付いてきた。

「早く、影山さん」

　類は露骨に嫌な顔をした。

　安西は類の愛車の窓にべったりと手の跡と鼻先の油を塗りつけながら、さらにツバキを飛ばしているのだ。

　依頼者じゃなかったらぶっ飛ばしてやるところだ。

　師匠とトキが降りると、ウエットティッシュで窓を念入りに拭いておいた。出来ることならアルコール消毒をしたいところだ。

そうしないと、安西の貼り付けた細胞から、プラナリアのごとく安西が発生しそうに思えた。