師匠はコスプレ☆メイ探偵
 安西は怒りに震えながらも、黙ってしまった。

「ちょっと、黙り込まないでください。私が何でクビにならないといけないんですか。だんな様とデキてるなんて、言いがかりもいいとこじゃないですか。ちゃんと奥様の誤解を解いてくださいよ」

 萌黄が猛烈に怒っている。

 こんな親父との仲を疑われたんじゃ、無理もない。

「そうだ。萌黄君は関係ない。

クビにする理由はない。

宝石が盗まれるかもしれないことをお前に言わなかったのは、そうやって騒ぎ立てるからだ。

盗まれずに済むものならなるべく穏便に済ませたかったのだ」

「でも、盗まれたじゃない」

 言うと、奥さんは声を上げてオーバーに泣き出した。

「ああ、あれは母の形見だったのに。世界中に二つとないような逸品だって言ってたわ」

 ナンタラ国の国宝だったんだから、本当に逸品なんだろう。

 
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