師匠はコスプレ☆メイ探偵
「申し遅れました。私、影山探偵事務所の土岐(とき)と申します」

「うそ」
 
類はバラを片手に、うやうやしく背中を折って会釈するトキを見た。
 
影山探偵事務所に、他に誰かいるなんて、聞いてない。
 
トキは類をすり抜けると、1501のドアを開けた。

鍵はかかってなかったらしい。

無用心なのか、類たちのために開けておいてくれたのか。
 
トキは勝手知ったる家なのか、さっさと中に入ると、スリッパを引っ掛け、類にもスリッパを出してくれると、居間のほうに歩いていった。

彼らにセンサーが反応して、玄関ホールに明りが付いていた。
 
類はスリッパを辞退して、1980円の、この夏で履きつぶす予定のサンダルを脱ぐと、裸足で床に上がった。
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