師匠はコスプレ☆メイ探偵
類も実はそう思っている。

「あ、そうだ類ちゃんにお願いがあったんだ」

「やめとけ。そんなヤツにお願いしたら、デートを強要されるぞ」

 いちいちムカつく男だ、湯佐は。

 ミドリ先輩はきっちり湯佐を無視して言った。

「後で訳して欲しい文献があるの。

英語ならどうにかなるんだけど、ドイツ語なのよ」

「そいつにドイツ語なんてわかるのか?」

 類は口も聞きたくなかったが、ミドリ先輩と顔を見合わせると、

「言ったでしょう?あたしはナンターラ国の大学を出たって。

ナンターラ国の母国語はドイツ語なんです」

 湯佐は黙った。

 信じたらしい。

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