師匠はコスプレ☆メイ探偵
 類は常々不満に思っていたのだが・・・

市役所や図書館など、公共の、税金で運営されてるハズの施設のほとんどが、働いて実際に税金を納めている人間が絶対行けないような時間しか開いてないのはどうかと思う。

 実際によく利用できるのは、昼間働いてない、つまり直接自分の稼ぎから税金を納めてない人種だけだというのは腑に落ちない。


「いいんです。こんなことでもないと、一生この博物館には来られなかったですから」

「すまん」

「いえ。体が丈夫に出来ているので、無欠席無早退は事実ですけど、ルーズな性格が災い
して、遅刻は常習犯なんで、無遅刻っていうのはウソなんです」
 

師匠はどうコメントしていいのか分からなかったらしく、口をつぐんだ。

「で?これが次に盗まれるはずの、『ルビヌスのハート』ですか?」

 博物館の一角に飾られた小さな赤い塊を見ながら、唐突に言った。

 大きなハート型にカットされているので、訊くまでもなく、それがルビヌスのハートだとわかった。
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