師匠はコスプレ☆メイ探偵
手伝うつもりはない。揚げたての天ぷらを、すぐさま掻っ攫うつもりなだけだ。


「成瀬さんて何を考えてるか、すぐに分かりますね」

 菜箸で、ピーマンに衣をつけて油に放り込みながら、トキが言った。


「狙ってるでしょ、揚げたて」

「うん」


 トキはクスリと笑った。

「影山さんの分、残しておいてくださいね」


 それから少し間があって、トキが言った。


「成瀬さんて、いつから影山探偵のところで働いてるんですか?」

「一ヶ月くらい前、かな。トキさんは?」

「二週間ほど前からです。ところで、何で、ここで働こうと思ったんですか?」

「世界を征服するために」


 トキは難解な表情をして、類を見た。

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