師匠はコスプレ☆メイ探偵
 引き上げられたピーマンを、類はすかさず奪って口に放り込んだ。

 
やっぱり揚げたては旨い。


 幸せ気分に浸りつつ、怒ったように続けた。

「エミリーポリファックス」

「誰なんです?」

「あたしの大好きな小説の主人公。アメリカ人でおばあちゃんで。だけど、探偵じゃないんだ。彼女はスパイ。師匠は根本的なことを間違えてたんだよ。しかも、女装までして。誰が好き好んでそんな人好きになるの?例え一目惚れしてたとしても、百年の恋も冷めるってやつよ。まあ、もともと好みじゃないけど」

 一気にまくし立てると、今度は続けざまにに天ぷらを口に放り込んだ。


「おいひいね」


 もぐもぐしながら言った。
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