師匠はコスプレ☆メイ探偵
言ったって聞かないのは分かっているが、一応、毎回のお約束として説教をしてみた。

この師匠、腕も大したことないが、日々名探偵のコスプレに明け暮れる、変わった探偵なんである。

「だから、家の中でしかしない」

「あ、そうですか」
 
言いながら、手に持った資料を引き出しにしまった。

「しかし、身なりに構わないあなたが、こうしてペディキュアを施すとは、よほどのことがあると見えるが」

「ああ、コレ?何となくね。手の爪は平気なんだけど、足の爪が裸だと、物足りない感じがするんだ。だから塗ってるだけ。それよりさ、出かけるんでしょ?」
 
促しても、聞いちゃあいない。

「今手にしていた資料は君の気に入ったかね?」

「へ?」

「モゴーグ国の国宝盗難事件だ。あくまで記事を書いた者の推測だが」

ああ、ナンタラ国のことか。

「これ、調べる気なんですか?」

「私のライフワークだ」
 
えらく大層なライフワークだな。

それより、本物のワークを探せって感じだけど。

いっつもお金が無くてピーピー言ってるんだから。

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