師匠はコスプレ☆メイ探偵
師匠は助手席側の窓ガラスを指差した。
 
確かに、泥のついたようなあとが微かに残っている。
 
こんのヤロウ。
 
類は真剣に師匠を殴ってやりたくなった。
 
汚したんなら、拭いておけよ。
 
けれど、拳骨を師匠に叩きつける代わりに、ウェットティッシュを一枚引き抜いて、師匠に渡した。

「綺麗にしておいてください」
 
足跡の方は、目的地について師匠をつまみ出してから、掃除しよう。
 
師匠はしぶしぶそれを受け取ると、窓ガラスを押し下げて、外側の汚れを丁寧に拭きにかかった。

「で、何でそれが、ガソリンを入れてない証拠になるんですか?」

「ガソリンを入れると、スタンドの兄ちゃんが窓ガラスを拭いてくれるだろう。つまり、あれ以来ガソリンを入れてないから、窓の汚れがついたままなのだ」

確かに、汚れに気付かなかったのはあたしの注意が足りなかった。

けれど、それをガソリンを入れてないと言い切るのはかなり強引である。
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