師匠はコスプレ☆メイ探偵
「あたしは、セルフでガソリンを入れるんです」

「セルフとは何だね?」

「自分でガソリンを入れるんですよ。だから、当然窓拭きのサービスもない」
 
師匠は黙った。
 
セルフでガソリンを入れるのもウソではないが、実は前回師匠を乗せてから、ガソリンを入れてないのも当たっているのだが、師匠が調子に乗るので、教えてやらない。

「まだ、何か推理したいですか?」
 
師匠は、人差し指を唇に当てて

「そうだな。類君に彼氏はいない」
 
いたら、師匠のところでアルバイトしてる時間を惜しんで彼氏と会ってるハズだ。とか言うんだろうか。
 
思っていると、

「助手席の椅子が私が乗ったときのまま、動いていたことがない。わしは身長のわりに細くてコンパクトに納まるが、普通の体格の男が乗るには、このままでは少々きつい。だから彼氏を乗せたのなら、もう少し座席が後ろに寄っているハズだ。仮に彼氏が運転して類君が助手席に乗っているのだとしたら、もう少し座席が前によっているハズだ」
 
いちいち、座席を動かすのが面倒なだけかもしれないのに。

「車は彼氏のを使うんです」
 
彼氏なんぞいないが、師匠を黙らせたくて、類は吐き捨てた。

思惑通り師匠は口を結んだので、類はやっと運転に集中することが出来た。
 
けれど、師匠にちょっと腹が立っていたので、少々荒い運転になっていた。

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