師匠はコスプレ☆メイ探偵
と、その微笑を合図にしたように、一瞬会場中の照明が一斉に落ちた。
 
悲鳴とどよめきが起こる。

 類はとっさにすぐ近くにいたトキにしがみついた。

 こんな広いホールの中で、一人で暗闇に放り出されるのは嫌だった。

「影山氏の仕業でしょうか」

 トキの声が、触れてる体から、振動と共に伝わってきた。
 
 悲鳴やどよめきは、驚きから、すぐに不安なものに変質して行く。

「皆様落ち着いてください。すぐに明りがつきます」

 バタバタとした動きがあって、やがてホール中に明りが戻った。

「エメラルド、無事かな」

「とりあえず、形だけは、ね。

キューブ君にすりかえる間くらいはあったでしょう」

 類は遠くはなれてしまったエメラルドの方を見た。
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