師匠はコスプレ☆メイ探偵
古今東西の名探偵が、やたら殺人事件に出会うのは、実はその名探偵が殺して回っているからじゃないかって書いてある本を読んだことがあったが。

師匠って、それっぽい。

心の底から疑っていると、師匠がホクホクした顔で現われた。
 
類が外に出て、助手席のドアを開けて待っていると、

「ありがとう、御者君」
 
言って、師匠は乗り込んだ。
 
御者君って、もしかしてまだ、中身はホームズのつもりだったのか。
 
全身から力が抜ける。
 
この人は一体どこまで本気で生きているのか、一ヶ月付き合ってもまだ分からない。
 
師匠を乗せると、類は急発進した。
 
それから師匠が車酔いする人だということを思い出して、ソフトな運転に切り替えた。
 
ちょっと荒っぽかっただけで、さっきは真っ蒼だったものな。中で吐かれでもしたら大変だから気をつけよう。
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