師匠はコスプレ☆メイ探偵
それを類は、髪を下ろし、真紅のドレスを身に纏った姿で待っていた。

身体に張り付いて、スレンダーなラインをますます綺麗に見せている赤いドレス。 

それに、いつもひっ詰めている髪の毛を下ろして。

顔にかかる髪を、類は湯佐の視線を感じながらゆっくりと掻き揚げた。

「どういう風の吹き回しだ?」

 類の格好や仕草をねっとりとした視線で見つめていた湯佐が口を開いた。

 そういうことを、口語で言う人間に始めて会ったな。

 類は思いつつ、

「あら、気付かなかった?あたしはずっと湯佐さんのことを考えていたのよ」

 言って、木の陰から動いた。
 
< 346 / 357 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop