師匠はコスプレ☆メイ探偵
びびっているのかと思いきや、何だかその目には、楽しそうな光がある。

何か、やばそうだ。

思ったが、湯佐から離れるのが一瞬遅かった。

バカ湯佐にちゅぱっとキスされた。

しかももろに唇に。

類の中で煮立っていた血が一気に、氷河期も真っ青なくらいに冷え込んだ。

ほとんど反射的に、もう一発拳骨を繰り出した。

危ういところで、理性が押さえて、湯佐の顔に直撃する軌道は外した。

今度は、湯佐の頭の上に、拳骨は食い込んだ。

コンクリートの壁から塗装が剥がれて、湯佐の頭の上にパラパラと落ちた。

類は襟首を掴んだ左手で、遊佐を壁に叩きつけると、背中を向けて歩き出した。
 
痛てっ。
 
チラリと自分の右手をみた。
 
壁を殴ったところが、自分の力に耐えかねて、裂けて血が出ていた。
 
ちっ。
 
オボエテロ。
 
とりあえず、師匠の探偵の技を盗んだら、こいつの多分やっているであろう悪行を暴いて、みんなにばら撒いてやるんだから。
 
類は両手を強く握り締めて誓った。 

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