師匠はコスプレ☆メイ探偵
でも、『師匠、それは間違っています!』とかいうだけの情熱も、類にはなかった。

田口婦人も田口氏も、両方共に不幸をもたらすだけだと分かってはいても、類にとっては結局はそれは“どうでもよいこと”なのだ。

「じゃあ、いってくるね」
 
師匠は可愛く言っても可愛くないが、とにかく可愛い声を出して言うと、類の愛車を降りた。
 
類はそのまま、そのマンションの近くで駐車できる場所を探した。
 
本当なら、田口氏の急な動きに備えて、その場で車に乗ったまま待機しておくべきなんだろう。

けれど、類は弟子として、師匠の仕事っぷりが見てみたかったのだ。
 
変なところに止めて、なんかあったら嫌なので、きっちり百円パーキングに愛車を止めると、類は少し遅れてマンションに入った。
 
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