師匠はコスプレ☆メイ探偵
オートロックの玄関ではなかった。
 
監視カメラもない。
 
類はやすやすとマンション内に入ることが出来た。
 
田口氏が二階の部屋に入るところを、師匠はさっき望遠レンズで撮ったのだ。
 
類は静かに、階段を二階まで上がった。
 
外観はそこそこ綺麗なマンションだったが、中に入ってみると、コンクリートむき出しの壁はあちこちに細かいひびが走り、修繕の行き届いた良いマンションでもないことが分かった。
 
階段の掃除もそこそこである。
 
二階にたどり着くと、このマンションのチープぶりはますます如実になった。

ずらりと並んだドアとドアの間隔は狭く、部屋一戸一戸の狭さが伺えた。
 
その上、鉄製のドアはぺンキがところどころ剥がれていた。
 
ドアの隣には一つづつ窓があり、その一つに、師匠が張り付いていた。
 
近づくと、少し開いた窓から、子供の声が聞こえてきた。
 
ケラケラと楽しげに笑っている。
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