師匠はコスプレ☆メイ探偵
「こう見えても、あたしは努力家なんです。九十九パーセントの努力をして、あと一パーセントの才能が無いタイプ。これは本当です」

言うと、また食べだした。
 
途中で、少し冷めたコーヒーを、一気飲みする。

「早く話さないと損ですよ。もう、自給が発生してますから」

「そうだった」

 師匠は慌ててボロ鞄から書類を取り出した。

「で。今日のコスプレは誰なんです?」

訊くと、思い出したように、頭をボリボリした。

「金田一コウスケ」

「ああ。あの怖い話に出てくる探偵」

「そうだ」

師匠の顔がニコヤカになる。

コスプレの人物を類が知っていたことが、よほど嬉しかったのだろう。
 
が、その師匠にボディーブローを食らわすことを忘れなかった。

「でも、ちゃんと見たこと無いんで知りません。特にビジュアルなんて、まるっきり」
 
師匠はがっくりとうなだれた。
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