師匠はコスプレ☆メイ探偵
「だいたい、あたしに彼氏がいるかどうかなんて推理して、何の得があるんですか?」

「それは。類君は綺麗だから、私が口説く」

「カミさんに怒られるんじゃないですか!?」

師匠は黙った。
 
だいたい師匠は恋人なり配偶者なりがいても不思議じゃない年なのだ。

それが一人身なんて、何だか怪しい。
 
きっと、コスプレにうつつを抜かしているから、誰からも相手にされないんだ。
 
類にしたってそうだった。
 
師匠の名推理をそばで見ているうちに、だんだん師匠に惹かれて、行く可能性なんかゼロだと断言できる。

第一、犬や猫を探す腕にかけちゃあ、右に出るものはいないって感じだけど、それ以外
に名推理をするところを見たことがない。

この間の一軒で、まんざら薄らとぼけたヤツでもないのは分かったが、その程度のおっ
さんに惚れてやるほど暇でもないし、悪趣味でもない。
 
類はついついアクセルを踏む足に力がこもり、運転が荒くなっていった。
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