師匠はコスプレ☆メイ探偵
しまった、今の、聞かれたかな。
 
類は苦笑いを浮かべると、うなずいた。

「じゃあ、途中まで一緒に行きましょうマドモアゼル」
 
マドモアゼル?
 
思いつつ、彼がオートロックのパネルを操作しているのを眺めた。
 
ピンポーンと呼び出し音が聞こえて、誰かが出たようだった。

けれど、相手は何も言わずに、オートロックを開錠した。
 
すっと、類を阻んでいたガラスの扉が左右に開く。

「どうぞ」
 
彼が言って、先に入るよう促した。
 
どうぞったって、自分だって鍵を持ってないところをみると、お客なんじゃん。

えっらそうに。
 
心の中で思いつつ、類は中に入った。
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