今宵、僕等は禁忌を犯す



 心の中にモヤモヤしたのが

 ゆっくり広がってゆく。

 黒くてどんよりした、

 ・・・嫌な感情。


「ふぅん」


 小さな声で呟いて、


「なんか彫ってある…」


 と、焦りながら言う。



「ふたりの名前入りだよ!」


 嬉しそうに首を傾ける

 高倉とは正反対に、

 俺は彼氏に嫉妬してしまう。

 指輪なんか…買ってんなよ。


「よかったな」


 せいいっぱい笑いかけ、

 会議があるからと

 さっさと背中を向けた。




 

 

 

 
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