王子様は寮長様
「蒼斗が花火大会にねぇ。良かったじゃん。」
奈緒先輩はアイスティーを混ぜながらニッコリ笑う。
ちょっと照れてしまうけど。
「気にかけてくれたことが嬉しいんです。夏休みはずっとひとりだと思ってたから。」
「そっか。蒼斗もなかなかカッコイイことしてくれるわね。」
なんだかちょっと悔しそう。
で?と奈緒先輩は聞いてきた。
「それから蒼斗は連絡してきた?」
「いいえ?」
奈緒先輩はストローをくわえたまま眉間にシワを寄せる。
なんだか反応が面白いな
「連絡ないの?一度も?携帯にも?メールも?」
次々くる質問に私はコクコク頷く。
奈緒先輩はありえない、と小さく呟きため息をついた。
でも、相馬先輩、かなり忙しいらしいし。
彼女でもないのに、頻繁に連絡するのも…ねぇ?
そう言うと、奈緒先輩はブンブンと首を振った。
あぁ、首痛めちゃうよ?
「弱気じゃ駄目よ!椎菜ちゃん!蒼斗みたいな、王子様寮長は攻めて行かなきゃ。女の子の気持ちに疎いわよ!」
そ、そうかなぁ~?そんなことないと思うけど。