王子様は寮長様
「…帰ろう。送るよ。」
相馬先輩は私の質問を無視して歩きだした。
なんだか後味悪いって言うか、スッキリしない。
私は抗議の意味をこめて、その場から動こうとはしなかった。
先輩はそれに気が付き、小さくため息をついた。
「お父さんに合わせないとか、それは私に関係する話なんですか?」
「九条。今は話せないんだ。わかってくれないか?」
そんなこと言われたって、あんなこと突然言われるし、納得はいかないよ
「…九条…俺は…」
「蒼斗さん!」
相馬先輩が何か言いかけたとき、先輩を呼ぶ声がした。
「早く戻って下さい!社長がお待ちで…す……。…椎菜さん……?」
「片山…さん…。」
相馬先輩を呼びに来たその人は、私も知ってる人だった。
数ヶ月に一回電話をくれて、母の葬儀と入学式の時に合ったことがある。
“父親”の秘書、片山だ
どうしてこの人がここに?どうして先輩を呼びに来ているの?