王子様は寮長様


「片山さんですよね…?」



片山はただ驚いている。


片山さんが相馬先輩を呼びに来た?

“父親”の秘書が?

何故、相馬先輩を?



「椎菜さん、いらしてたんですか…?お久しぶりです。」



片山さんは明らかに動揺している。


私の心臓は一気に脈を打っていた。


ドキドキが激しくなる。


考えたくない方向に考えてしまう。



だって……だって………


「か、片山さん…。社長って……相馬先輩のお父さんのこと…ですか?」



片山さんは答えない。黙って真っ直ぐ私を見つめてくる。

もうすでにそれが答えになってるんじゃないの?


相馬先輩を見上げると私から目をそらしたまま、下を向いていた。


先輩……、笑って嘘だと

冗談だと…言ってよ



「…相馬……先輩…?」



声が涙声になるのが自分でもわかる。


でも、気持ちが抑えられそうにない。



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