王子様は寮長様


寮の自分の部屋に入り、私はその場に崩れ落ちた

涙はこれでもかというくらい溢れて止まらない。



「…うっ……ひっく…」



片山さんは“父親”の秘書。

その片山さんが、相馬先輩を呼びに来た。

つまりは、片山さんはSOOMAの社長秘書ってことだ



それは…………


私は頭をブンブン振る。


夢なら覚めて欲しい。

誰か嘘だと、冗談だと言って欲しい。




…相馬先輩は知っていたのかな…。



「九条…。いるんだろ」

「っ!」



ドアの向こうから、相馬先輩の声がした。


会場から追いかけてきてくれたの?



「九条、話を聞いてくれないか?」

「…話したくない…」

「九条。あの…「帰ってくださいっ!」



私は先輩の声を遮り、耳を塞いだ。


これ以上何も聞きたくなかった。


先輩の口から“真実”なんて聞きたくない!



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