王子様は寮長様
その時、またインターホンが鳴った。
あれ?奈緒先輩、忘れ物でもしたかな?
私は奈緒先輩だと思い、モニターも確認せず、玄関のドアを開けた。
「奈緒先輩?忘れ…物……」
息が止まりそうになった
そこに立っていたのは奈緒先輩ではなく…
「相馬…先輩……」
「九条……」
私の心臓がドクドクと脈を打つ。
不意打ちって…ダメでしょう……。
こ、心の準備が……。
「九条、話をしたい。」
「先輩……」
相馬先輩は切なそうな表情をしている。
そんな顔しないで……。
私はグッと唇を噛み、それからニッコリと先輩に向き合った。