王子様は寮長様
「相馬先輩、昨日は取り乱してすみませんでした。ビックリしちゃって」
「あれは……」
「でも、もう大丈夫だから。気にしないで?」
「大丈夫なわけないだろう?突然の話だったし」
私はううん、と頭を振る
頑張れ、私。
「そりゃあ、初めはショックだったけど、よくよく考えれば、たった一人ぼっちの私に家族がいたんだもん。嬉しいことなんですよ。」
「九条……。」
相馬先輩は一瞬、私から目線をそらし、またゆっくりと私を見つめた。
不覚にも、私の胸はドキッと跳ね上がる。
心はまだ正直だね…。
「九条。社長から伝言がある。今日から来月まで社長は海外だ。戻ったら一度、話をしようと…」
「社長に会っちゃいけないんじゃないんですか」
「そういうわけにもいかなくなったからな…。」
確かにね。
昨日のパーティーでの出来事は、片山さんから社長に…“父親”に伝わっているはずだ。
“父親”は私に自分の身分を一切教えなかったのに、こんな形でばれてしまった。
一度話をしなくてはと思うのは当然のことだろう