王子様は寮長様
「わっかんなぁぁい!!もうヤダァ!!」
奈緒先輩はついに教科書を放りなげた。
数Ⅲの教科書がバサリと落ちる。
「お、落ち着いて。ね?気分転換にお茶しましょうよ。」
私は用意してあったコーヒーを接いで奈緒先輩に渡す。
「寮長室でキレるのやめてくれよな。」
相馬先輩が呆れたように言った。
そう。ここは寮長室。
今、私は奈緒先輩にテスト勉強を教えている。
何故か、二年の私が三年の数学を教えているのだ
理由は私が成績優秀で皐月寮に入寮したから。
だからって…ねぇ?
「うるさいわね!あんたも少しくらい勉強したらどうなの!?」
「俺が?勉強?」
相馬先輩は奈緒先輩にわざと意地悪く笑ってみせた。