王子様は寮長様


「あはは…。何を言ってんの。」

「でも…」

「そんなんじゃないよ」



そんな素敵な関係ではない。


なら…と野上くんが呟く。



「良かった…。」



ん?何が?

野上くんは下を向いたままちょっと微笑んでいた


「あ、副寮長!こんど僕、コンクールでるんですよ。」

「へー、コンクール?何の?」

「バイオリンです」

「へー……」



ん?



「!!ガラス!触っちゃ駄目だよ!?」



ガラス片付けてる場合じゃないよ!?

怪我したらどうすんの!



「大丈夫ですよ。」

「駄目ったら駄目!」



私はほうきを奪い取った

コンクールに出ようとする人が何をしてるんだか


「…副寮長?来てくださいね。コンクール。」

「いいよ。というかその副寮長っての止めてよ」



野上くんはちょっと困ったような顔をする。

可愛い顔してるなぁ。



「では椎菜先輩って呼んでいいですか?」

「うん。」



野上くんは嬉しそうにニコニコと笑った。






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