王子様は寮長様
「上手いねぇ。さすが音楽優秀で皐月寮に入っただけあるわ~」
私は感嘆のため息をつく
野上くんとレッスン室に行き、そこでバイオリンを弾いてくれた。
才能って凄いなぁ。
「ありがとうございます。椎菜先輩に聴いてもらえて嬉しい。」
野上くんは私の隣にピョンと座る。
ソファーがギシッと言った。
「僕、ずーっと椎菜先輩とこうして話がしたかったんです。」
「へー?どうして?」
「タイプだから。」
「へ?」
タイプって…。
「僕、椎菜先輩が好きなんです。」
「えぇっ!?」
「てっきり寮長と付き合っていると思ってたから諦めていたけど、違うなら僕にもチャンスはありますよね?」
チャンスって。
何を突然…。
「野上くん…あの…」
「返事はまだいいです。先輩の気持ちが僕にないことも…わかってるんです。」
私はハッとして野上くんを見た。
このこ…私の気持ちに気付いてる。