王子様は寮長様
「椎菜先輩ー!」
体育館の入口で野上くんとバッタリあった。
嬉しそうに大きく手を振っている。
「先輩も体育なんですか?」
「あ、うん…。野上くんも?」
「はい。今日はラッキーだな。雨に感謝。」
台風が発生している影響で外は生憎の雨。
野上くんは雨もいいな~なんて言ってる。
「先輩、僕のクラス、バレーなんです。見ていてくださいね!」
「うん。頑張って。」
野上くんが戻ったあと、莉子が怪訝な顔で見てきた。
「何あのこ。積極的だね。椎菜が好きなの?」
「さすが。鋭いね。」
「あの態度はわかるよ。告白は?されたの?」
私はコクンと頷く。
莉子はふぅん、と面白くなさそう。
きっと椎菜の恋愛の邪魔だなとか思ってるんだろうなぁ~。
隣のコートでは野上くんが試合をしている。点を決めるたび、私にピースをしてくる。
可愛いなぁ。子犬みたい
相馬先輩も笑顔が可愛い
時々、狼になるなんて言ってたっけ。