王子様は寮長様


「椎菜先輩ー!」



体育館の入口で野上くんとバッタリあった。


嬉しそうに大きく手を振っている。



「先輩も体育なんですか?」

「あ、うん…。野上くんも?」

「はい。今日はラッキーだな。雨に感謝。」



台風が発生している影響で外は生憎の雨。

野上くんは雨もいいな~なんて言ってる。



「先輩、僕のクラス、バレーなんです。見ていてくださいね!」

「うん。頑張って。」



野上くんが戻ったあと、莉子が怪訝な顔で見てきた。



「何あのこ。積極的だね。椎菜が好きなの?」

「さすが。鋭いね。」

「あの態度はわかるよ。告白は?されたの?」



私はコクンと頷く。


莉子はふぅん、と面白くなさそう。


きっと椎菜の恋愛の邪魔だなとか思ってるんだろうなぁ~。



隣のコートでは野上くんが試合をしている。点を決めるたび、私にピースをしてくる。


可愛いなぁ。子犬みたい

相馬先輩も笑顔が可愛い
時々、狼になるなんて言ってたっけ。



< 143 / 217 >

この作品をシェア

pagetop