王子様は寮長様
「それでも…椎菜先輩を諦めきれません。」
「…ふぅん。」
「僕、椎菜先輩に告白したんです。」
蒼斗は目線だけ野上のほうに向ける。
野上はチラリと蒼斗を見た。
何も言わない蒼斗に野上は軽く唇をかんだ。
「椎菜先輩の気持ちには気付いています。でも、諦めきれないことってあるじゃないですか。」
野上は悔しそうな声で呟いた。
「…わかるよ。」
「えっ…?」
「諦めきれないよな…」
蒼斗は独り言のように呟いた。