王子様は寮長様


「口開けて寝てたよ」

「ウソッ!!」



私は布団を顔まで上げる

相馬先輩は意地悪な笑顔を向ける。

そして口だけで“ウソ”と言った。


うぅ~、ひどいっ。


私がひとりむくれていると野上くんがペコッと頭を下げ、



「…僕、帰ります。椎菜先輩、今日は本当ごめんなさい」

「いいよ。大丈夫。」



野上くんはもう一度ペコッとして、チラリと相馬先輩を見る。

先輩は野上くんを見ようとはしなかったけど。



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