王子様は寮長様


「九条、いる?」



放課後、教室の入口で呼ばれて振り向くと、相馬先輩が笑顔で手を振っていた。


瞬間、きゃぁーと女子の歓声。



「蒼斗先輩だー。」

「椎菜、呼ばれるよ。」

「凄い、いいな!」



口々に言われながらも、先輩の元へ行く。

普通は喜ぶべきところだろうけど、私はまっったく嬉しくない。


笑顔が引きつってしまう



「何かご用でしょうか」

「うん。寮へ帰ろう。」



……………??



「“帰ろう”とは?」

「そのままの意味だよ。一緒に帰ろう。」



一緒に!?なぜ!?


先輩の後ろの方にいた取り巻きらしき女の子たちはえーっと声をあげる。



「九条は副寮長なんだよ。寮長と一緒にいるのは自然なことだから」



女の子たちをチラッと見て言った。



ってか、不自然だって!

組み合わせが悪いよ!




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