王子様は寮長様

キス



「椎菜先輩っ!」



教室の外から声をかけられる。

最近は見なくても誰だかわかるようになった。



「また来たよ、あの少年。追い返そうか?」



隣で莉子が面白くなさそうに私に言った。


私と相馬先輩について知らない莉子は野上少年を 邪魔に思ってるようだ。



「大丈夫だよ。コンクールもあるみたいだし、イジメないであげて。」



私は莉子を宥めつつ、野上くんのもとに行く。



「先輩、今日も来てくれるよね?」

「今日は…えっと…」

「先輩が来てくれると、上手に弾けるんです!」



そう言われると困ってしまう。


仕方ないなぁ。



「わかった。でも少しだけね?」



野上くんはヤッターと喜び、「じゃぁ、レッスン室で!」と去って行った

私はそのまま相馬先輩の教室に向かう。



< 151 / 217 >

この作品をシェア

pagetop