王子様は寮長様
キス
「椎菜先輩っ!」
教室の外から声をかけられる。
最近は見なくても誰だかわかるようになった。
「また来たよ、あの少年。追い返そうか?」
隣で莉子が面白くなさそうに私に言った。
私と相馬先輩について知らない莉子は野上少年を 邪魔に思ってるようだ。
「大丈夫だよ。コンクールもあるみたいだし、イジメないであげて。」
私は莉子を宥めつつ、野上くんのもとに行く。
「先輩、今日も来てくれるよね?」
「今日は…えっと…」
「先輩が来てくれると、上手に弾けるんです!」
そう言われると困ってしまう。
仕方ないなぁ。
「わかった。でも少しだけね?」
野上くんはヤッターと喜び、「じゃぁ、レッスン室で!」と去って行った
私はそのまま相馬先輩の教室に向かう。